May 17, 2006

Go... / Paul Chambers

僕は、CDのクレジットを見て、ピアニストにウィントン・ケリーの名前を見つけると、ついつい買ってしまう癖がある。しかしながら、ケリーが参加している作品は、あまりに多いので、一生かかっても、全部制覇することはできないだろうとも思う。

さて、そんな中で、最近のお気に入りは、ベーシスト、ポール・チェンバース名義のアルバム『Go...』だ。

セッション的な内容で、ところどころに、拍手や掛け声が入っていたりするのも臨場感があって楽しい。圧巻は、2曲目の大スタンダード『Just Friends』だ。メンバー全員のプレイが素晴らしいが、この曲におけるケリーのソロは、星の数ほどある彼のソロの中で、最も美しいものの最上位にランクされるのではないか。あまりにも美しく、そして強烈にドライブする展開に、スタジオ内にいた女性が、レコーディング中にも関わらず、我慢できずに思わず「ケリー!」と叫んでしまう声が聴こえる(それも、かなり大きな声!)。

アルトのキャノンボール・アダレイも、このセッションでは絶好調で、余裕たっぷりに、しかし細かいところまで神経が行き届いたプレイを聴かせてくれる。ちなみに、同時期に、ほぼ同じメンバーでレコーディングされた、キャノンボール名義の『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』も、僕の大好きなアルバムだ。こちらについても、いずれレビューしたいと思っているが、キャノンボールとケリーの組み合わせは、黒くて熱くて色気があって、もう最高としか言いようがない。

ジャズの土台を創りあげ、熟成させていった、ジャズ・ジャイアンツ達による洗練されたハードバップは、本当に素晴らしい。でも、この時、チェンバースは若干23歳。うーむ、凄すぎる。。。

ジャズに出会えて良かったなぁと心底思える名盤。最近僕は思うんだけど、ジャズの歴史上、重要な意味合いを持つ作品ばかりが『名盤』では決してない。むしろ、スタイルが確立されて、熟成されて、いい意味で枯れてきた頃の普通の演奏の方が、聴いていて楽しいし、「ジャズ」を強く感じるものが多い。ジャズの啓蒙書に載っているような歴史的名盤と言われるものしか聴かないのはもったいない。ブローイング・セッション的な、リラックスした演奏にこそ、ジャズの魅力が詰め込まれていたりするのではないかな。

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Apr 06, 2006

Red Garland At The Prelude

最近は、メトロノームをアタマに鳴らして練習している」と、3月21日の日記で僕は書いている訳だが、実はその後、非常に苦しんでいる。良い時はすごく良いのだが、悪いときはとてつもなく悪いという状態で、好調、不調の振れ幅が一段と大きくなってしまった。つまりは、この練習方法は、極めてハイリスク・ハイリターンのように思えるので、安易にお勧めすることはできない。ただ、良い時は確かに今まで以上に良いので、僕はまだしばらくは続けてみるつもり。

調子が悪くなってしまったら、やはり、本物の演奏を聴いて勘を取り戻すのが一番だ。ウィントン・ケリーやソニー・クラーク、ケニー・バロンなど、いろいろとっかえひっかえ聴いて試してみたけれど、今のところ、一番復活しやすいのは『Red Garland At The Prelude』のようだ。ライブ盤なので、いつもよりもややリラックスしつつも、全編に心地良いSwing感が溢れているガーランドの真髄を堪能できる。選曲も、よく知られたスタンダードばかりで、馴染みやすい。ガーランドというと、マイルス・クインテット時代の、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(drs)とのトリオの方が有名(『Groovy!』『Red Garland's Piano』辺り....)だと思うけれど、僕はジミー・ロウサー(b) 、スペックス・ライト(drs)という知名度的には正直やや劣るメンバーの組み合わせによる、
この『アット・ザ・プレリュード』が大好きなのです。しばらく前に、3枚組の完全版『Complete At The Prelude』が出まして、買いなおしましたが、こちらも素晴らしいです。。ただ、こういう時に聴くには、コンプリート版よりも、ベスト・テイクを集めた1枚の方が効率が良いですね。まぁ、自分で選曲してベスト版作ればいいんですけどね....そんなに暇じゃないし....

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Nov 23, 2005

my favorite instrument

しばらくぶりに脳天から衝撃を受けるCDを聴いた。『my favorite instrument』とは、なんともベタなタイトルだが(邦題『ソロ』)、これは凄い! オスカー・ピーターソン(piano)のソロ・アルバム。1968年の録音だが、意外にもピーターソン初のソロなんだそうだ。

オスカー・ピーターソンというと、レイ・ブラウン(bass)、エド・シグペン(drums)とトリオを組んでいた50年代の作品が有名だと思う。『プリーズ・リクエスト(We get Requests)』、『The Trio』、『ナイト・トレイン』あたりは、ピアノ弾きならずとも、ジャズ屋であれば当然のごとく聴いていることでしょう。しかし、実は僕は、ピーターソンに関しては、この時代よりも、60年代に入って、MPSレーベルに移ってからの方が好きなんですね。サム・ジョーンズのベースに、ボビー・ダーハムのドラムと、知名度的には正直やや劣るリズム・セクションなんだけど、僕はこちらのメンバーによる傑作『The Way I Really Play』(これまたベタなタイトルのアルバム。邦題:オスカー・ピーターソンの世界)を聴いて衝撃を受けて、オスカー・ピーターソンが大好きになったのです。その後、このメンバーによるMPSの作品は、ほぼ全部揃えたつもりだったんだけど、ソロは聴いていなかったのです。うかつでした。

いや、正直言って、僕はピアノ弾きのくせして、ソロ・ピアノはあんまり好きじゃないんです。1曲、2曲ならいいけれど、アルバム一枚通して聴くのは、結構辛いというか、飽きてしまうことがほとんどなので.... ソロ・ピアノなら、クラシックを聴く方がいいと思うんですよ(爆)。

そんな訳で、後回しにしていたこのアルバムだけど、これは凄い。凄すぎる! この人には、ホント、ベースもドラムもいらないなぁ。一人で強烈にスイングしていて、今まで最高傑作だと思っていた『The Way I Really Play』と比べても、全然見劣りしないもの。

ピーターソンの演奏は、あまりにスピードがあるので、一瞬にして流れてしまって、なかなか記憶に残らないけれど、たくさんのアルバムを繰り返し聴いていると、実は案外、手癖フレーズのオン・パレードであるということがわかってくる。でも、その手癖フレーズのひとつだけとってみても、とてつもなく難しくて、全然真似できない。しかも、構成力が素晴らしいので、手癖をまったく感じさせることなく、起承転結もしっかり出来ている。

久しぶりにヒットしたなぁという喜びと共に、「こんなの絶対できる訳ないよな」と、ひどく落ち込まされた一枚となりました。まぁ、こんな人は、世界中探しても他にいない訳だし、比べること自体、間違っているというのはわかっているんですけどね。

まったくもって、ジャズってヤツは聴けば聴くほど、演奏するものじゃなくて、聴くものだって気がしてきますけど、まだあきらめませんよ(笑)。

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